金田一先生の講演

おととい聴きにいった講演は、金田一秀穂先生の「世界一受けたい授業〜おもしろ日本語〜」だった。失礼ながら、内容があるような無いような、つかみ所の無いお話だったと思うのだが、三つだけ、とても印象に残ったことがある。

  • 「言葉の根源的な機能は、人と人の間をつなぐ/共感の場を作ることにある。」
      データの伝達ではないんだよね、確かに。
  • 例によって「ら抜き言葉」について質問が出た。「嫌いな人はイヤだと言ってブレーキをかければ良く、それでも使う人は使う。そうやって言葉は漸進的に変化して行くのが望ましい。」
      昔、盛岡で春彦先生の講演を聴いたとき、やっぱり「ら抜き」の話をされていたのを思い出して、懐かしかった。もちろん表現も、話し方も全然違うのだが、「人の変化につれて、言語は変化するべき」とする姿勢は、お二人とも変わらない。
  • 「日本語だけでものを考えていると、どうしても固定したものの見方に陥って、非常に危険。これを避けるには日本語以外に触れる以外に無い。*1
      これは、システム屋さんでは、より顕著に現れる。とびきり異質だったRailsに初めて触れたときの、それこそ脳がドッキリな感じを思い出した。一つの言語、一つのフレームワークだけで仕事をしているというのは、自ら脳を小さく固めているようなもので、エンジニアとしては非常に危険な状態だと思う。私もまた、Railsや他の言語の勉強始めよう、これ以上ボケないうちに。

*1:言語は思考と感覚を縛る、というのは今となっては常識だと思うが、京助先生の親友だった啄木が、漢語調の呪縛から逃れようとしてローマ字で日記をつけていたって話があるから、先生の家ではえらい昔から、代々言われているのじゃないかしらん。