Remix07 Tokyoの感想

やっとメモをまとめたので、ざーっと書いておく。

  • 全体の雰囲気
    なんと言うか,ぶち上げた割には,基調講演の話のつなぎが悪かったり,全体の進行が不手際だったりとイマイチな点が目立った。Microsoft内部でも温度差があるのかもしれない。全体に熱気などはあまり感じられず,ちょっと違和感がある。スーツ組が多いせいか,Microsoftにロックインしてる人が多いから予定調和なのかな?
  • Labo
    会場の一角で,実際にモノを作っているところを公開していた。数社のスタッフが交代でやっていたが,結構実践的で面白い。絵が出来る人が居ると,全体にかなり速く仕上がる感じがして興味深かった。先日、画面の絵が見えると,プログラマのモチベーションが上がるって聞いたけど,この辺がコラボレーション効果かも知れない。ただ,トークMicrosoftの言ってることと同じ調子なのがちょっと気の毒。
  • OSS
    アピールか客寄せか,OSS系の講演もあった(PHPRuby)。Rubyは新ネタは無さそうなので,PHPのを聞いた。内容はIISPHPサポートがかなり充実してきて,高速かつ安定して動くようになった,というもの。PHP開発元のZend社の偉い人が来て話していた。けっこう良い内容だったが,お客がパラパラだったので,当て外れだったかも知れない。IISPHPがいい具合っていうのは,以外にインパクトある話だと思うのだが,IIS使う人はPHPなんて使わんてことなのだろうか。
  • DLR
    これは面白かった。ひとつのツール上で,PythonRubyがオブジェクトやり取りしながらシームレスに動いている。MicrosoftのDLRサポートはかなり真剣だ。DLRやってるJim Hugunin氏が、CLR上で各言語のオブジェクトを共用するための仕組みをblogで解説してくれたりしている。彼にけっこう自由にやらせていることや,blogでの情報公開を進めていることからして,MicrosoftOSSコミュニティと付き合っていく試金石的な性格も持っているように思える。
  • DLR ふたたび
    DLRの上で,PythonRubyが動くようになったと仮定しての話。このとき,インタプリタとしてのPythonRubyはかなりな精度で互換性があるはずだ。問題なのは,各言語が持っている標準/非標準のクラスライブラリの方で,どの程度動くのかは未知数だ。Cで書かれたライブラリは移植したくとも難しかろうし、よく使ってたライブラリが使えないとか,使いたいアプリがライブラリ不足で動かないというのは起こりそうで,かつ,とても困ったことになりそう。してみると,思った以上に言語というのは,使えるライブラリが重要だ。ひるがえって,Javaや.Netの最大の財産は,その背後にある枯れたライブラリ群だとも言える。JRubyやDLR上の言語から,こういったライブラリ群が使えるというのは,やっぱりインパクト大きいと思う。ライブラリが育つためには,広い地盤とたくさんの要求圧力が必要だから,今あるライブラリに惹かれて入ってきた奴がまた新しいライブラリを育てるようなことが起こるとイイ感じであり,Javaも.Netもこういう効果を狙っているのだと思う。
  • 新Studio系ツール
    キモはデザイナーを引っ張りこめるかだと思う。果たしてAdobe使ってるデザイナーさん達が乗り換えたりするんだろうか?(Microsoft色はキライって人も,かなり居そうだし)
    大物な人たちが乗り換えて流れを作らないと,新規の人や会社の方針で乗り換えぐらいになってしまって,全然流行らないことになるかもしれない → デザイナーさんたちに聞いてみたい
  • 同じくStudio
    何だか,講演で話してる人たちは,VisualStudio使うのが当たり前だと思っているようだ。普通の会社にとって,この高価なツールを揃えて開発するのが当たり前なのだろうか?そもそもその辺からしてズレを感じた。
    ※もっとも,CLR系の開発しようと思ったら,エディタの候補補完が必須だ。なにしろ凄い量のライブラリだから,補完してくれないと話にならない。
  • みたびStudio
    RailsSeasar2調べてる目からすると,いかにも不要な定義が多く,コードや設定の管理箇所が分散しすぎており,全然DRYではない。こういうファイルの配置が伝統なのかもしれないが,やりにくい。スクリプト系の開発者取り込むのなら,もっとリファインしないと逃げられそう。
    ※これで気にならないどころか,大いばりなところを見ると,ツールや言語は人の考え方を縛ってしまうのが良く分かる。私もきっとEclipseJavaRailsに縛られているのだろう。ひとつだけの言語,ひとつだけのツール,というのはベンダーロックインと同じで,かなりキケンな話だ。心中する気なら別だけど。

今回、聞いてみて、Microsoftはかなり真剣なのはよく分かった。Silverlightも良さげなコンセプトなので、1.1リリースのあたりで再び調べてみようと思う*1。それまで、この件は忘れる。

*1:LL系コミュニティの変容と合わせて。